介護休業の対象として「障害児・者や医療的ケア児・者」が明記されました

介護休業の対象として「障害児・者や医療的ケア児・者」が
明記されました

本年2月25日配信の労務ROAD(VOL.944)「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」にて、令和7年4月1日からの同法の改正ポイントをお伝えしました。
今回は、その中から介護休業にスポットを当て、介護対象者が明記された点をご紹介します。

これまでの課題

従来の介護判断基準は、主に高齢者を念頭に置いたものでした。
そのため、例えば子に発達障害や知的障害などがあったり、たん吸引や人工呼吸器など医療的ケアを必要としていたりする場合には解釈が難しく、対象になるかどうかの判断がしづらいケースがありました。

今回のポイント

今回、介護休業の対象について、「対象家族(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)」と明記されました。これに伴い、介護判断基準も新たに定義されました。

新しい介護判断基準

以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。

(1)項目①〜⑫のうち、状態について「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること

(2)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること

(注2)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。

(注3) 各項目の2の状態中、「⾒守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「⾒守り」や、認知症高齢
者、障害児・者の場合に必要な⾏為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。

(注4) 「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。

(注5) 「④水分・食事摂取」の「⾒守り等」には動作を⾒守ることや、摂取する量の過⼩・過多の判断を支援する声かけを含む。

(注6) 「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に⽋けることがある障害児・者が、自発的に危険を回避することができず、⾒守り等を要する状態をいう。

(注7) ⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。

(注8) 「⑩認知・⾏動上の課題」とは、例えば、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦⼿な障害児・者
が、周囲のサポートがなければ日常生活に支障を来す状態(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)をいう。

(注9) 「⑫日常の意思決定」とは、毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能⼒をいう。

(注10) 慣れ親しんだ日常生活に関する事項(⾒たいテレビ番組やその日の献⽴等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療⽅針への合意等)には、支援等を必要とすることをいう。

これらの判断基準はあくまでも最低基準です。
厚労省も「当事者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます」と啓発しています。

なお、短時間の休みが取得可能な「介護休暇」も、対象範囲の定義は介護休業と同じです。例えば障害児・者の数時間の通院付き添いなどでも利用できます。
ただし、こちらは対象家族1人につき年5日までで、有給か無給かは会社の規程によることとなります。

参考:厚生労働省パンフレット「育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説」P.6~7より

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