雇用調整助成金

【主 旨】

景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業、教育訓練、または出向によって、その雇用する労働者の雇用の維持を図る事業主に対して助成するものであり、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的としています。

※ 事業活動の縮小とは次のアからウの要件をすべて満たす場合です

ア 売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期に比べ10%以上減少していること

イ 雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと

ウ 過去に雇用調整助成金又は中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること

 

【対象となる措置】

本助成金は、下記の「対象となる事業主」に該当する事業主が、次の1と2を実施した場合に受給することができます。

1 事業活動の縮小を余儀なくされる中で、雇用する労働者(雇用保険被保険者に限る。以下同様)の雇用の維持を図るために、その者に対して次の(1:休業)(2:教育訓練)(3:出向)のいずれかの措置(以下「雇用調整」と総称する)を実施する計画を策定し、管轄の労働局またはハローワークへ事前に届け出ること

(1)休業

次の①~④のすべてに該当する休業を行うこと

① 労使間の協定により行われるものであること

② 所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること

③ 休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないものであること

④ 次のアまたはイであること

ア 所定労働日の全1日にわたるもの

イ 当該事業所における対象労働者全員について一斉に1時間以上行われるもの

(2)教育訓練

次の①~④のすべてに該当する教育訓練を行うこと

① 労使間の協定により行われるものであること

② 所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること

③ 職業に関連する知識、技術を習得させ、または向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であって、かつ、受講者を当該受講日に業務に就かせないものであること

④ 次のアまたはイに該当するものであること

ア 事業所内訓練の場合

事業主が自ら実施するものであって、受講する労働者の所定労働時間の全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるものであること

イ 事業所外訓練の場合

ア以外の教育訓練で、受講する労働者の所定労働時間の全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるものであること

(3)出向

次の①~⑬のすべてに該当する出向を行うこと

① 出向期間が3か月以上1年以内であって、終了後に出向元事業所に復帰するものであること

② 出向先事業所が雇用保険の適用事業所であること

③ 出向元事業主が出向労働者の賃金の一部(全額を除く)を負担していること

④ 出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うものであること

⑤ 労使間の協定により行われるものであること

⑥ 出向労働者の同意を得たものであること

⑦ 出向元事業主と出向先事業主との間で締結された契約によるものであること

⑧ 本助成金の対象となる出向の終了後6か月以内に当該労働者を再度出向させるものでないこと

⑨ 出向元事業所において、雇入れ助成の対象となる労働者や他の事業主から本助成金等の支給対象となる出向労働者を受け入れていないこと

⑩ 出向先事業所において、出向者の受入れに際し、自社の労働者について本助成金等の対象となる出向を行っていないこと

⑪ 人事交流のため、経営戦略のため、業務提携のため、実習のため等雇用調整を目的としないで行われるものでなく、かつ、出向労働者を交換しあうものでないこと

⑫ 資本的、経済的、組織的関連性等からみて、出向助成金の支給において独立性を認めることが適当でないと判断される事業主間で行われるものでないこと

⑬ 出向先事業主が、当該出向労働者の出向開始日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過した日までの間に、当該出向者の受入れに際し、その雇用する被保険者を事業主都合により離職させた事業主以外の事業主であること

 

次の場合は支給対象となりません。

① 職業に関する知識、技能または技術の習得または向上を目的としないもの

② 職業または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの

③ 趣味・教養を身につけることを目的とするもの

④ 実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの

⑤ 通常の事業活動として遂行されることが適切なもの

⑥ 当該企業において通常の教育カリキュラムに位置づけられているもの。

⑦ 法令で義務づけられているもの

⑧ 事業所内で実施する訓練の場合で通常の生産ラインにて行われるもの等、通常の生産活動と区別がつかないものまたは教育訓練過程で生産されたものを販売するもの

⑨ 当該教育訓練の科目、職種等の内容についての知識または技能を有する指導員または講師により行われないもの

⑩ 指導員または講師が不在のまま自習等を行うもの

⑪ 転職や再就職の準備を目的としたもの

⑫ 過去に行った教育訓練を、同一の労働者に実施するもの

⑬ 海外で実施するもの

⑭ 外国人技能実習生に対して実施するもの

 

【支給額】

(1)休業の場合

休業を実施した際(※1)に支給対象者に対して支払われた休業手当相当額(※2、※3)に下表①の助成率を乗じて得た額(※4)

(2)教育訓練の場合

教育訓練を実施した際(※1)に支給対象者に対して支払われた賃金相当額(※2、※3)に下表①の助成率を乗じて得た額(※4)に、さらに下表②の加算額を加えた額

(3)出向の場合

出向を実施した際の出向元事業主の負担額(※5)に、下表①の助成率を乗じて得た額

(※6)

助成内容と受給できる金額大企業中小企業
① 助成率1/22/3
② 教育訓練の場合の加算額(支給対象者1人1日あたり)1200円

※1 1つの判定基礎期間において、支給対象者の休業等の実施日の延日数が、支給対象者の所定労働の延日数の1/15 以上(中小企業は1/20)以上の場合のみ助成対象となります。

※2 事業所の前年度の1人1日あたりの平均賃金額に、事業所の「休業手当等支払い率」を乗じて算出します。教育訓練の場合は協定により特段の定めがない限り、「休業手当等支払い率」を100%として取り扱います。

※3 休業・教育訓練を行った判定基礎期間内に、支給対象者が時間外労働をしていた場合、助成額から時間外労働時間相当分を控除します。

※4 支給額は1 人1 日あたり雇用保険基本手当日額の最高額(平成25 年8 月現在で7,830円)を上限額とします。(教育訓練の場合の加算額は上限額に含みません)

※5 出向前の通常賃金の1/2の額を上限額とします。

※6 支給額は1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額に330/365を乗じて得た額を上限額とします。