男性も利用できます!厚生年金保険の養育特例
従業員に子どもが生まれ、子どもを育てながら働くときには、
・育児短時間勤務制度の利用
・時間外労働を減らす
などの理由で子どもを育てる前と比べて給与額が減少す ることがあります。
給与額が減少すると、将来の年金額の計算の基となる標準報酬月額も下がり、最終的に従業員が将来受け取る年金額が減少することにつながります。
このようなときには、将来の年金額に関する厚生年金保険の特例措置が適用できる場合があります。
その内容や手続きをご紹介します。
特例措置である「養育特例」とは?
3 歳未満の子どもを養育(同居し監護することを指します。)することに伴い標準報 酬月額が下がった場合、より高い養育前の標準報酬月額を、養育期間における標準報 酬月額とみなして年金額を計算する措置のことを言います。
|具体例 標準報酬月額32万円→24万円に下がった場合
養育特例が適用される事例
| 育休復帰後に時短勤務になった場合
養育特例が適用される代表的例は、育休復帰後に時短勤務やパートなどになり給与額が下がった場合です。
| フルタイムの方や男性も適用される場合あり
あまり知られていませんが、時短勤務でなくともこのような場合にも養育特例は適用されます。
- テレワークで復帰することになり交通費の支給がなくなった
- 会社の近くに引っ越したので交通費が下がった
- 役職を降りたため役職手当がなくなった
- 養育のため残業を減らした結果、残業代が少なくなった など
また、養育特例は従業員の性別に関係なく適用されます。
養育特例の手続き
従業員からの申し出 → 会社から日本年金機構へ提出
〈必要書類〉
①厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
※上のリンクからダウンロードできます。
②戸籍謄本等
従業員と子どもの身分関係および子どもの生年月日の確認
③住民票
従業員と子どもが同居していることの確認
養育特例は制度がよく知られていないこともあり、申出を行っていないケース が多いと思われます。
申請は本人からの申し出が前提ですが、従業員に子どもが生まれた際には会社から制度の説明 を行い、申出のサポートをお願い致します。
参考:日本年金機構 養育期間の従前報酬月額のみなし措置
育児・介護休業法の改正への対応はお済みですか?
育児・介護休業法が改正され、令和4年4月から順次施行されています。
この機会に以下の8項目をチェックし、法改正に対応できているか確認してみてください。
1 出生時育児休業(産後パパ育休)
令和4年10月1日から、男性の育児休業取得促進のため、【出生時育児休業(産後パパ育休)】制度が始まることはご存じですか?
2 育児休業の分割取得
令和4年10月1日から、子が1歳になるまでの育児休業について、2回までの分割取得が可能になることはご存知ですか?
3 育休開始日の柔軟化
令和4年10月1日から、子が1歳になった以降の育休について、開始日を夫婦で調整することが可能になることはご存知ですか?
4 就業規則の見直し
1~3の制度改正に伴い、現行の就業規則を見直しましたか?
5 有期雇用労働者の取得要件緩和
令和4年4月1日以降、【引き続き雇用された期間が1年以上であること】という要件が撤廃されましたが、現行の就業規則を見直しましたか?
6 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
以下の取り組みを1つ以上実施していますか?
- 育休に関する研修の実施
- 育休に関する相談体制の整備
- 自社の育休事例の収集・提供
- 自社の育休制度と育休取得促進に関する方針の周知
7 個別の周知
令和4年4月1日以降、本人または配偶者の妊娠・出産の申し出のあった労働者に対して以下を周知しましたか?
- 育休制度の内容
- 育休の申し出先
- 育児休業給付金に関すること
- 負担する社会保険料について
8 意向確認
令和4年4月1日以降、本人または配偶者の妊娠・出産の申し出のあった労働者に対して、育休の取得についての意向を確認しましたか?
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