「スポットワーク」の労務管理について①

「スポットワーク」の労務管理について①

近年、隙間時間を使った短時間の単発での働き方(いわゆるスキマバイト、スポットワーク)が急増しています。本紙読者の皆さまの中にも、既に利用されている、もしくは利用を検討されている企業様もおられることと存じます。
そこで、2回にわたり、スポットワークの労務管理上の注意点についてご紹介します。
つい見落としがちになってしまいますが、ぜひご一読ください。

1. 労働契約締結時における注意点

▶誰と誰が労働契約を締結するのかを確認しましょう

スポットワークは、事業主とスポットワーカーが直接契約を締結することとなり、労働基準法等を守る義務は、労働契約を締結した事業主に生じます。

※スポットワーカーとスポットワーク仲介事業者(いわゆるスキマバイトアプリ提供事業者)が労働契約を結ぶものではありません。


▶労働契約の成立時期を確認しましょう

労働契約は、労働者が事業主に使用されて労働し、事業主がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び事業主が合意することによって成立します。(労働契約法第6条)

スポットワークでは、アプリを用いて、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的です。
面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます。

なお、一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、労働条件の変更に該当し、事業主とスポットワーカー双方の合意が必要です。

▶労働契約成立後は労働基準法等を守りましょう

労働契約が成立すると、事業主には労働基準法等を守る義務が生じます。予定された就業開始前に労働条件を明示することなどが必要となります。

労働条件を書面の交付などの方法で明示することは事業主の義務であり、未然にトラブルを回避することにもつながります。

労働条件通知書の交付はスポットワーク仲介業者が代行(アプリ内でPDFで交付等)してくれる場合もありますが、交付は事業主の義務なので、きちんと交付されているか、その内容は適切か、事業主の皆さまは確実に確認しましょう。もしスポットワーク仲介事業者から交付されていない場合、事業主から交付してください。

2. 休業させる場合の注意点

▶丸1日の休業(キャンセル)または仕事の早上がりをさせることになった

労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し所定支払日までに休業手当を支払う必要があります。

※休業手当の代わりに、その日に約束した賃金を全額支払うことでも差支えはありません。

参考:厚生労働省リーフレット【「 スポットワーク」の労務管理

次回の後編では、賃金・労働時間に関する注意点等について掲載予定です。

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